こんにちは。松本です。
今回は弊社で行っている工事研修のうち、アンテナ研修の様子をお伝えします。 

アンテナ研修 電波測定

様々な八木式アンテナやフラットアンテナの生の差比較テストはこちらの記事で詳しくご覧いただけます。
フラットアンテナ頂上決戦2012年

上記の写真はアンテナの受信感度を測定している様子です。
今回は会社の屋上で様々なアンテナを同じ場所に設置して、アンテナの受信感度を測定してそれぞれの特徴を調査するものでした。
今回は時間がなかったので測定したアンテナは4種類のみですが、以下のアンテナを使用しました。
DXアンテナ USA-25D (20素子標準アンテナ)
サン電子 SC-DA14UL (14素子パラスタックアンテナ)
DXアンテナ UAH800 (標準フラットアンテナ)
DXアンテナ UAH900 (高性能フラットアンテナ)
測定位置
東京タワーまで方角 179度16分23秒33,763 m

今回は性能比較のため、フラットアンテナもマストに取り付け、八木式アンテナと同様の高さで測定しています。

アンテナ研修 電波測定このアンテナは14素子のパラスタックアンテナです。
パラスタックアンテナとは、素子という短い横棒が上下2段になっているアンテナです。
もちろん20素子のアンテナに比べると通常長さは短くなるのですが、性能は基本的な20素子アンテナよりも高くなります。また指向性が高くなるなど、特徴も変わってきます。

測定したのは
A 東京タワー方面に向けた場合
B 東京タワーと真逆に向けた場合
C 千葉テレビ方面に向けた場合(千葉テレビの測定)
以上の3方向を調査しています。
NHK(総合、教育)、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京、テレ玉はA、およびBで測定。
千葉テレビはAおよびBで測定しています。
また今回の測定場所(弊社屋上)では千葉テレビと東京タワーは90度近い角度の開きがあります。

アンテナ研修 電波測定

 

フラットアンテナは通常の工事ではこういった設置を推奨していませんが、アンテナの能力差を測るために今回はこういった設置も行っております。

測定結果を下表にまとめてみました。

アンテナ種別
1-USA-25D
2-SC-DA14UL
3-UAH800
4-UAH900

チャンネル
20ch-MXテレビ
21ch-フジテレビ
22ch-TBS
23ch-テレビ東京
24ch-テレビ朝日
25ch-日本テレビ
26ch-NHK教育
27ch-NHK総合
28ch-放送大学
32ch-テレ玉
30ch-千葉テレビ

各パラメーター
LV-受信レベル[dBμV]…大きいほどいい。
MER-Modulation Error Ratio…大きいほどいい。最大値30
CNR-Carrier to Noise Ratio…大きいほどいい。最大値30
BER-Bit Error Rate…小さいほどいい。

下表の注意点
B及びCの測定値欄は、30chに限り千葉テレビ方面に向けた数値であり、他は東京タワーと真逆に向けた値です。
またBERの値は指数表記であり
4E-5と書いてある場合は、4×10-5であり、0.0004と言う意味です。

測定結果から導き出されるもの。
同条件で4種類のアンテナを今回設置してみたところ、東京タワー方面に設置した場合に、全体的な受信性能を比べると
パラスタック14素子 > 標準20素子 ≒ UAH900 > UAH800
となっています。
しかし、同方向で千葉テレビの受信性能を比べると
UAH900 > UAH800 > パラスタック14素子 ≒ 標準20素子
となっています。
これはアンテナの指向性の違いが大きく影響しており、八木式アンテナに比べてフラットアンテナの方が広いエリアからの電波を拾いやすい仕組みになっていることを表しています。またパラスタックアンテナになると更に指向性が鋭くなり、放送塔にまっすぐ向いた場合はよく電波を受信し、方向が違うものに対しては受信しにくくなる、つまり適正方向以外からの雑電波の影響を受けにくい仕組みになっていると言えます。

またUAH800とUAH900での性能差がそれほどありませんが、経験上UAH900はもっと放送塔からの電波の弱いところ(距離が離れているところ)でその性能を発揮するアンテナのようです。ですからUAH800でそれなりの受信ができるエリアでは、UAH900にしたからと言ってUAH800+αの性能はさほど期待できません。

千葉テレビ方向にフラットアンテナを向けた測定を今回忘れてしまったのですが、次回また同じ場所で測定した際に補完しておきたいと思います。

アンテナ 20 21 22 23 24 25 26 27 28 32 30
1-A LV 34.9 58.4 57.6 60.8 58.1 59.2 60.9 59.2 50.5 54 34
MER 20 30 30 30 30 30 30 30 30 30 15.9
CNR 20.6 30 30 30 30 30 30 30 30 30 17.7
BER 8E-5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5E-3
1-B
1-C
LV 38.9 38.9 41.6 38.9 41.8 39.5 40.2 33.4 40.6 47
MER 14.8 14.6 12.9 9.1 10.6 12.9 10.5 9.8 12.9 30
CNR 15.2 15.6 14.6 10.1 12.8 11.3 10.9 9.6 17.6 27.2
BER 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 8E-2 0
2-A LV 38 61.2 60.5 63 60.9 62.5 63.2 62 57.4 53.2 34.6
MER 19.6 30 30 30 30 30 30 30 30 30 18.3
CNR 20 30 30 30 30 30 30 30 30 30 18.7
BER 1E-4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4E-3
2-B
2-C
LV 40.7 38.5 43.1 41.7 41.4 40.8 42.7 34.5 40 50.4
MER 16.5 17.8 18.2 16 15.8 17 13.8 14.8 18.9 30
CNR 16.7 17.1 15.7 15.4 15.1 14.8 16.4 14.4 19.8 30
BER 8E-2 6E-3 3E-3 3E-2 1E-2 3E-2 7E-3 8E-2 3E-5 0
3-A LV 33.3 55.4 54.7 59.6 54.2 54.7 57.3 55.9 52.4 54.2 40.9
MER 17.6 30 30 30 30 30 30 30 30 30 28.5
CNR 17.9 30 30 30 30 30 30 30 30 30 28.5
BER 1E-2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
3-B
3-C
LV 38 38.9 40.8 37.8 38.1 37.6 39 37 39.3
MER 17.4 15.8 15.3 17.7 17.7 16.5 14.3 20.8 20.5
CNR 16.8 16.3 17.5 17.9 16.7 16.4 16.9 22.1 18.3
BER 6E-3 4E-3 1E-3 2E-2 4E-3 7E-4 7E-4 2E-4 2E-6
4-A LV 34.1 56.5 55.3 59.7 55.8 57.1 58 56.1 53.6 55.3 43.1
MER 21.4 30 30 30 30 30 30 30 30 30 28.1
CNR 21.1 30 30 30 30 30 30 30 30 30 28
BER 7E-6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
4-B
4-C
LV 40.1 38.3 41 38 41.1 41.5 41.3 38.6 39.6
MER 17.1 15 15.6 17.3 18.9 16.2 13.4 18.1 15.3
CNR 15.6 14.4 14.9 15.6 18.1 15.6 14.8 18.7 14.6
BER 2E-2 7E-2 4E-3 5E-2 5E-3 2E-3 2E-3 3E-4 7E-4