こんにちは。松本です。
昨日と今日と強風でなかなかアンテナ工事も思うようにいきません。
昨日はアパートの屋根の上で電波測定をするはずがあまりの強風で中止となり、近くの高所から近似測定をしてまいりました。今日も風がかなり強いので、はしごを使った作業は基本的に不可能です。 
 
ということで、今日は久々にコラムを書いてみようと思います。
今日のお題はコンクリートです。
オール電化工事となると、エコキュートの設置場所にコンクリート基礎を打つことも多々あり、いまやオール電化工事をやる会社は電気工事なのか水道工事なのかはたまた土木や設備、その全ての知識技術、さらには資格も必要となってきたりします。
 
今日はその中でコンクリートのお話をしたいと思います。
 
エコキュート基礎工事その1弊社ではこのように、エコキュート設置場所に十分な強度のコンクリート基礎がない場合は、原則としてコンクリート基礎打ちをして工事をします。
エコキュートのタンクは70~120kg程度の重さがあり、またタンクの容量分の水の重さがかかってくるわけですから、軽いもので450kg程度、重いものだと600kg程度の重さになってくるわけです。タンク自体は特別振動したりするものではありませんが、きちんとした足場のうえでなくては、いつどのように傾き、倒れてしまうかわかりません。
また倒れてしまった際には、タンクにつながっている水道管が破損し、破損箇所から水が噴き出してしまうといった可能性もあります。
 


エコキュート基礎2では、きちんとした土台と言われるコンクリートとは一体何なのでしょう。
簡単に言うとコンクリートは「セメント」「砂」「砂利」などを水で練って固めたものです。
最初は泥のように見えて、しばらくすると石のように固まるというのは多くの方が知ってらっしゃると思いますが、これは「乾いて固まった」わけではないということはご存知でしょうか。
一般的に「(生)コンクリートが乾いたら硬くなる」と言うような言い方をする方が多いので、間違った認識が広まったような気もします。また「冬は夏に比べて寒いからコンクリートは乾きにくい(固まりにくい)」なんていう人もいます。結果としてはおよそ間違ってはいませんが、内容は全く文字通りではありません。
僕自身もそうですが、子供のころに砂場で泥団子を作った記憶が、コンクリートも同様のものだという先入観を与えてしまっている気がします。
最初は水分があってどろどろしたものが、水分がなくなると硬くなる。
これはまさに泥団子ですよね。
 

エコキュート基礎3でもコンクリートは水分が乾いて固まるわけではなく、水分と化学反応を起こして固まるのです。
僕はこの事実を知ったときはとても衝撃的でした。
細かい化学式などは割愛しますが、この化学反応が外気温による影響を受けるので、冬など気温の低い時期には長期間の養生が必要となるわけです。
また家などの建築現場の基礎工事を見たことがあればわかるかもしれませんが、夏場などはコンクリートが急激に乾き反応不足やひび割れを生じないように、表面に水を張って養生する方法もあります。この光景は「コンクリートが乾くと硬くなる」と思っている人には衝撃的な光景かもしれません。実は僕の母親は、実家の建築中に基礎の上に水が張ってあって「あんなに水浸しでこの家は大丈夫なのだろうか」とひそかに心配していたそうです。
 

またコンクリートと言えばよく耳にするのが「鉄筋コンクリート」だと思います。
これは字の通り、コンクリート内部に鉄筋をいれたもののことです。
しかし、「コンクリート」と「鉄筋コンクリート」と呼び名が違う通り、もちろん鉄筋の入っていないコンクリートもあります。しかもそれはトンネルであったり、ダムなどで使われています。
このあたり「鉄筋の入っていないコンクリートは弱い」と思っている方にはまたしても衝撃的な事実かもしれません。
トンネルなんて安全性を確保しなくてはいけない場所に、なぜ鉄筋コンクリートを使わないのか!と思う方もいるかもしれません。ですが、この「鉄筋が入れば強くなる」という部分になかなか知られていない事実があるのです。
 
それは、圧縮強度と引張強度というものに関係します。
ここでピンと来た人もいるかもしれませんが、実はコンクリートは引っ張られる力に対して弱いのです。
それを補強するために用いられるのが鉄筋と言うことなんです。
またコンクリートはアルカリ性であり、鉄が錆びにくい(酸化しにくい)というメリットもあり、さらには面白いことに鉄とコンクリートの熱膨張率が近い数字だというデータがあります。鉄が熱で膨らむというのは有名な話ですよね。僕は東京タワーが冬と夏で高さが変わるという話や線路のレールの途中途中に隙間があるという話を聞いたことがあります。でもコンクリートが熱で膨張するなんて考えたこともなかったです。
実際細かい数値で言うとコンクリートと鉄の熱膨張率に差はあるのですが、無視してもいい程度の差ということです。それにコンクリート自体もその骨材やセメントの組み合わせで変わってくるのですが。
 
話がそれてしまいましたが、そもそもコンクリートは重いものを支える力はとても強く、それ自体は鉄筋をいれても強くならないのです。逆に雑に入れた鉄筋はコンクリートに悪影響を及ぼします。
かぶり厚といって、鉄筋のまわりに十分な厚みのコンクリートがない場合には、鉄筋は雨水などで錆びてしまい、膨張してコンクリートを内部から破壊してしまうこともあるのです。また、コンクリートを流し込む時に鉄筋のまわりに隙間ができてしまうなんてこともあります。
 
コンクリートは良くできた化合物ですが、その分とても奥が深いです。
コンクリートのことを勉強してからは、コンクリートの壁を見て、仕上がりが綺麗だと触ってうっとりとしてしまうこともあります。「このコンクリートは芸術的だなぁ」なんて思ったりもします。
上等なコンクリートは表面にガラス質の層ができて、うっすら黒光りします。そんなコンクリートを目の当たりにするとため息が出ちゃいますね。
泥団子も芸術的に作る人がいますし、泥団子をバカにするわけではありませんが、泥団子とコンクリートは全く別物です。
みなさんも、コンクリートの壁などを見かけたときに、それぞれの特徴をご覧になってみてはいかがでしょうか。つるつるとして艶があるものもあれば、ガサガサで、ひびが入ったり、錆汁という錆の流れた跡が付いているものまで様々です。